姿勢が悪いと

 

1) 血流が悪化し細胞が酸素不足、栄養不足となり老廃物が蓄積

 

猫背だと、横隔膜が腹腔 (横隔膜の下の、胃や腸、肝臓などの消化器や、膀胱、子宮などが入っているスペース) に押し上げられ、肺が広がりにくくなり、充分に空気を取り入れられなくなります。

腰や胸が反っていると、横隔膜の上下する動きが妨げられ、肺の拡張、収縮がしにくくなります。

その状態が進むと、息切れし、疲れやすくなります。

また、血液中の酸素が減るので、細胞に酸素が充分に供給されず、代謝が順調に行えなくなり活動するためのエネルギーが不足します。

 

また、猫背では体幹の前面の筋肉が拘縮していて、反り腰では逆に背面の筋肉が拘縮しています。

拘縮した筋肉の中を通る血管は圧迫され、血流が悪くなります。

血流が悪いと、酸素や栄養が細胞に充分に届きません。

また、血流の悪さに伴ってリンパの流れも悪くなるので、老廃物の除去も滞ります。

 

例えれば、体が「栄養失調のゴミ屋敷」となっているのです。

 

2) 肩こり 首こり 視力の低下

 

猫背だと、頭が前に突き出してしまいます。

そのため、頭を支えている肩や首、背中の筋肉の負担が増え、肩こり、首こりなどが起こります。

また、首の後ろや後頭部の筋肉は、眼球に動きに関わるので、視力の低下や眼精疲労を起こします。

 

3) 腰痛

 

腰が丸まった姿勢だと、骨盤が後傾します。

逆に、腹筋が緩んで、お腹が前に出た姿勢だと、骨盤が前傾して反り腰になります。

この正しくない姿勢が、腰やその周辺の筋肉に負担となり、腰痛がおこります。

 

腰椎の生理的湾曲 (正しい腰の姿勢) が崩れた状態が続くと、腰椎の椎間板が変形したり、位置がずれたりします。

すると、中にある髄核の位置もずれて、髄核を包んでいる繊維輪が膨らんで神経を刺激し、鈍い痛みが起こります。

さらに変形が進み、繊維輪が切れて、髄核が飛び出し神経を圧迫するのが「椎間板ヘルニア」です。

「椎間板ヘルニア」は、お尻から足先にかけての、しびれ や 痛み、違和感、不快感などの坐骨神経痛の症状が起こります。

だから「椎間板ヘルニア」では、症状を感じている部分にはトラブルは起こっていません。

症状の解消には、腰椎の問題の解決が必要です。

「椎間板ヘルニア」の重篤な症状としては、激痛 マヒ 歩行困難 排尿障害 などが起こることもあります。

 

「脊柱管狭窄症」でも同様な症状が起こります。

「脊柱管狭窄症」は単独の病気と言うより、「変形性脊椎症」 「腰椎変性すべり症」 「椎間板ヘルニア」が進行して発症することが多いです。

これらは、お腹に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満で、お腹の重さで腰椎が前方に引っ張られ、腰が反りぎみになっている方だと、より一層起こりやすくなります。

これに限らず、体についた余分な脂肪は、腰への負担が増えるので、腰痛の原因となります。

ですから、肥満で腰痛の方は、体重のコントロールが大切です。

 

「脊柱管狭窄症」は、とくに60歳以上の男性に起こりやすいといわれています。

 

 

4) 膝痛

 

頭が前に突き出て、首~背中~腰~お尻まで丸まり、前に倒れないように膝が曲がって外側に突き出て、ガニ股になっている方がいます。

以前は高齢の方に多かったですが、スマホなどの利用でストレート・ネック になり、さらに運動不足で筋肉が衰えている若い方にも見られるようになりました。

 

膝は、まっすぐ伸びた状態が最も安定する構造になっています。

曲がった膝で立ったり、歩いたりすれば、膝の骨が変形し、膝痛が起こります。

 

内股 や ガニ股 は 膝痛 を招くことがあります。

 

肥満で膝痛の方は、減量して膝への負担を軽くすることが大切です。

膝には体重の数倍の荷重がかかります。

1kg体重を減らすだけで、片膝にかかる負担は3~5kgも少なくなるといわれています。

 

5) 手の冷え しびれ

 

猫背で背中が丸まり、肩先が前方に突き出すと、鎖骨と肋骨の間が狭くなります。

すると、そこを通っている心臓から手の先へと繋がる血管が圧迫され、血流が悪くなり、手が冷たくなります。

また、同じくそこを通っている、頚椎から出て手の先に繋がる神経が圧迫されると、手が しびれ たり、感覚が鈍くなったり、手が動かしづらくなります。

 

6) 尿失禁

 

骨盤が後傾し腰が丸まった方は、腹筋が弱くゆるんでいるので、腹腔内の腹圧が低くなります。

すると、くしゃみをした時の横隔膜の圧力を腹腔で弱めることができず、その圧力が膀胱に直接伝わってしまうので、膀胱が圧迫されて尿失禁が起こります。

 

7) 消化不良 便秘  内臓の働きの悪化

 

腰が丸まった状態だと、腹腔が圧迫されて狭くなるので、胃や食物の消化に関わる内臓も圧迫され、働きが悪くなり消化不良になります。

また、圧迫されている腸も蠕動運動が妨げられ、便秘になります。

 

悪い姿勢だと、筋肉に歪みが生じ、歪んだ筋肉は拘縮し神経を圧迫するので、内臓への神経伝達に不具合が起こり、内蔵の働きが悪くなることがあります。

 

8) 生理のトラブル  不妊

 

腰が丸まり、押し下げられた消化器は、その下にある子宮や卵巣を圧迫して、機能を低下させることが考えられます。